年末恒例の冬合宿がかぐらエリアで行われた。1日目は宿周辺の雪原で雪崩捜索、シート搬送、引き上げ、それぞれの訓練、2日目はかぐらスキー場で滑走練習。極端な雪不足だったが初の本格的な寒波で降雪があり訓練も何とか形になった。
東京山スキー学校とウルスカ御用達の民宿「ぎえもん」が今シーズンから店仕舞い。ひとりで切り盛りしていた女将さんが振る舞うおいしい料理もさることながら、いつもテンパっていた姿が見られなくなるのはさびしい限りだ。今年は隣の民宿にお世話になった。
<1日目>
■ 雪崩捜索
3班に分かれて訓練開始。1班が捜索班、2班が被捜索側、3班が評価者となり、役割を交代しながら3クールの訓練を実施。各班の訓練終了後に評価者からフィードバックを受けた。雪崩発生時のとっさの役割分担、メンバー間のコミュニケーション、作業の効率化などについて数々の課題が浮き彫りとなった。各班とも基本的なイシューが押さえられていないのが目立った。年に1度や2度の訓練ではやはり身につかない。雪崩捜索の基本手順については例会等で繰り返し確認し頭に叩き込まなければならないと思った。
■シート搬送
続いてブルーシートを使った搬送訓練。例会でも室内で訓練したこともあって比較的スムーズに進んだ。ブルーシートで負傷者をくるんだら、前面数か所(=救助者数)をテルテル坊主を作る要領でカラビナを芯にしてスリングをマスト結び(クローブヒッチ・インクノット)で固定しアンカーポイントを作っていく。アンカーポイントからのびたスリングをそれぞれの救助者が引っぱりながら息をあわせて搬送。途中ブッシュが引っかかる場面もあったが、ブルーシートなら破れることはなかった。ツエルトでは一瞬で破けてしまうと思われる。薄手のブルーシート(養生シートといわれるもの)はパーティの必携とすべきか?被救助者からはヘルメットをかぶると安心感が格段に上がるなどの参考意見があった。
カラビナによるアンカー |
アンカーとスリングをマスト結び |
搬送中 |
持ち上げ まずは膝まで |
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■引き揚げ
今回はクレバスなどへの落下を想定した引き揚げ訓練を行った。三ツ峠の秋合宿で外部講師から教わった引き揚げ方法をベースに各運営委員が応用検討した方法を2班に分かれて試した。肩がらみの引き揚げ方法の実践や1/2システムと1/3システムの引き揚げパワーの違いを実感した。雪不足のためわが班ではやらなかったが、もう一方の班ではスキー板をアンカーにした支点を試した結果、それほど深く埋め込まなくてもある程度雪を盛れば十分機能したとのことだった。実際の引き揚げにおける大きな参考となった。
<2日目>
かぐらスキー場へ。リフトとゴンドラを乗り継いで和田小屋上のゲレンデトップに登った。雪不足でゲレンデ外の滑走は無理。各自基礎練習に没頭したあと三々五々帰京した。
猿倉~白馬大雪渓~鑓ヶ岳~鑓温泉~猿倉の山行は雨の予報が出ていたため、2日間の計画を1日で行くことになった。今年は雪解けが早くどこも雪が無くなっていると聞いていたが大雪渓はしっかり雪があるので安心する。岩室を過ぎ2500m付近から杓子岳方向に向かいカール状の地形の急斜面をアイゼンを利かせて登り稜線上に出ると雪が無く、夏道状態。登山靴で夏山風に歩いているひと、板を背負い兼用靴で歩いているひとと季節感がなんか変な感じ。稜線上はが強く,板が風を受けて歩きずらかったが白馬、杓子岳、鑓ヶ岳の白馬三山を眺めながらの稜線歩きは素晴らしくも有り、辛いものでもあった。
白馬の雪形が迎えてくれました。 |
大雪渓 |
最後の急斜面を登り稜線へ |
白馬を後にして夏道歩き |
鑓ヶ岳山頂付近は雪が繋がって無く天狗山荘側に150m程下って斜面に入る。頂上直下の急斜面に入れなかったのは残念だがこの鞍部からも斜度があって面白かった。スピードを抑えたショートターンで下って行く。嫌なことに隠れ小石があり、スキーを回した後に石を見つけると弧のサイズを変えたり、跨いだりと忙しい。それでも石を踏んでガリガリとあ~悲しい。鑓温泉までの標高差700mの滑りは十分満足のいく1本であった。
ちょこっと食べて準備準備 |
広くて斜度があって楽しい |
ロケーションは最高 |
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猿倉5:30~白馬尻7:00~稜線10:15~鑓ヶ岳12:15~2750mの鞍部12:40~鑓温泉13:15~小日向のコル~15:25猿倉
登って下って、標高差1660m、10時間 いい山旅でした。
nisshy報告の合間にちょっと報告。春スキーの時、雪が黒くなっていることはよくあります。今回の鳥海山は黒い雪を滑るとスキーに黒い油膜状のものが付き滑らなくなってしまい、地元の人も経験が無いようでPM2.5ではないかと言っていました。黄沙と共に飛んで来のか?緩斜面では全く滑らず疲れるばかり。困ったもんでした。布等で拭いても落ず、戻ってから中性洗剤で落とす事が出来ました。
ソールが真黒
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擦ると黒い膜が剥がれる。 |
え! 壁パス?(the day 2 参照)
<5月5日:第4日目・・・あとは帰るだけ>
雪の少ない鳥海で、やれることは・・・
やった!
4日目は、無事に帰るだけですね。
夜中は嵐だったのに、朝には雨は止んでて小屋から出発するのも苦じゃなさそう。
皆、ムダに早起き体質になっており、
朝食の『もやし豆腐入りにゅうめん(これ旨いです)』を食べても余裕で07:00にはヒュッテを出発!
関東西部を目指す『Pささ車』は、シャルパSの提案により、海回りルートを選択。
関東東部を目指す『飛(L)』車は、東北道ルート、すなわち山回りルートを選択(したと思われる)。
~海回りルート(Pささ車)~
鳥海で、やれることはやった。
今日は、日本海でやれることをやる!!
それは!海の幸!
日本海なのに湘南の風が吹く塩屋のテラス
で、なぜかソフトとゆでたまご
http://www.isosio.com/workshop.html
日本海、笹川流れ沿いで、Pささが思わず車を止めた塩屋さん
シャルパSが『ソフトクリーム&ゆで卵』って、
絶妙すぎる組み合わせのおやつを食べる。
そのスキに、聞き込み開始
おじさん1『ん~、ちどりか~』
おじさん2『ちどりだべ』 ってことで、
目指すは『ちどり』だ!
>に(SL)、杉ちゃん『ナビと運転は私たちに任せて!!後ろに乗って!!』
>Pささ、シェルパS 『はいっ!!』
みたいな感じでPささ車を海沿いに転がすこと10分(推定)!
http://www.e-chidori.com/syokudou.html
旨くないはずがない(=旨いはずだ)!!
『ごちそうさま~』『旨かったね~!(ちどり大正解!また来る!)』
>に(SL)、杉ちゃん『おなかいっぱいで、しばらく運転は、ムリだね~』『そうだねぇ~むりな感じだねぇ~』
>Pささ、シェルパS 『・・・・』
みないな平和な感じで、
途中、素敵すぎる音楽にハイになったりロウになったりしながら、
日本海東北自動車道→北陸自動車道→関越自動車道→圏央道を乗り継いで、
無事に関東西部に帰省致しました。
わりと好きです。こういう感じ。(山スキーに関係ない感じがぁ~)
~山回りルートに続く(のか続かないのか)~
そろそろ雪景色が恋しい時期に、みなそわそわ。
春のM家的ロングなスキーツアー動画アップします。
初日は日が暮れるかと思いました。
以上
<5月4日:第3日目・・・ちょいと山スキー&海鮮丼と山菜採り>
3日目。
きょうはスキーとボードで別行動。 ボード隊は七高山目指して登れるところまで登るらしい。 スキー隊はガイド本に載っていた黒森ルートをたどる計画。 午後から雨らしく、午前中には切り上げそれぞれ下界に下って温泉につかり、海鮮丼ツアーやら山菜採りとやらにしけこむことにした。
この朝、あいかわらず美しいご来光で目覚めた。 スキー組のPさささんと小生で今日のルートの終点にクルマをデポりにいった。 早朝の朝陽をあびるブナの新緑が美しい。林道をしばらく進むとたくさんのクルマが道ばたに。 ほとんどが他県ナンバー。ガイド本の影響かな?
おそらくルートの終点だろうこの辺の雪の状態は極めてよくない。昨日のストップ雪?PM2.5?のことを考えると、くだりとはいえ苦行になること間違いなし。 計画はあえなく断念。 夏道がある猿倉ルートに変更。避難小屋まで登って猿倉口まで滑ることにした。
ヒュッテからは一足先にボード隊が出発。トビリーダーとチク氏はボード隊に合流。スキー隊もあとを追った。
登高開始。しかーし、きょうも暑い。汗が噴き出てくる。 避難小屋への最後の急登は避けて左側から巻いた。ヤブを越えて尾根に出ると赤布が見えてきた。猿倉ルートだ。沢筋を登ると避難小屋に出た。
出発! |
ハイクアップ |
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少し休んで滑走開始。 楽しいのは最初だけ。くだるにつれてスキーが滑らなくなってきた。 昨日と同じ。 鳥海山をバックに滑降シーンを収めようとカメラを構えたが、スキーがまったく走らずみな苦笑い。 あまりの滑らなさにスキーをみるとソールが真っ黒。スクレーパーをあてるとベトベトしたオイルのようなものが削れてくる。その先で休んでいたパトロールの人たちもこの現象に首をかしげてた。
去年まではなかったそうだ。
滑らねー |
すべりまへーん |
滑んなーい |
ちはるさん、沢に滑り込む |
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ところでこの現象。犯人はどうやらブナの冬芽のようだ。ブナは、冬の間に葉を保護していた冬芽の殻を破って芽吹く。そして用なしの殻は雪の上におちる。例の油のようなモノの正体はこの殻に含まれているヤニのようなのだ。今年は冬芽の当たり年とのこと。たしかにきのう七高山から滑ったときも、標高が高い森林限界のところは軽快に滑れ、標高が低くなる、つまりブナが現われてくるにつれて滑らなくなってきたことともピタリと符合する。この現象、PM2.5でないことを祈るばかりだ。
ブナのヤニ |
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ところでブナの新緑は美しい。残雪の山肌と抜けるような青空に新緑がよく映える。滑らない 板で四苦八苦しながら猿倉口駐車場までおりてきた。
新緑のブナ |
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山菜採りと温泉の準備のため一旦ヒュッテに戻った。まもなくボード隊も帰ってきた。登高家のチク氏がひとりダッシュで七高山まで登ったらしい。ボード隊は海鮮丼を食するためトビリーダーのクルマで海辺に向かって出発。間際にかれらから、
「コシアブラのお浸しが食べたーい!」
「今夜は山菜のてんぷらがいい!」
などと好き勝手な妄想が。
われわれはプレッシャーを胸に今夜のおかず「コシアブラ」を確保するため山を下った。途中の雪が消えたあたりの森を探索した。コシアブラは標高の見定めが肝心だ。狙いは大当たり!で旬まっさかりのコシアブラがここかしこに群生してた。つけてきたnisshyさまとちはるさんが合流。2人ともコシアブラ採りは初めて。最初は戸惑ってたものの、目がなれてくると自力で探せるまでになってた。どうやら「コシアブラ目」になったようだ。こうなると面白いようにコシアブラが目に飛び込んでくる。そしてこの境地に達すると、クルマで移動中も車中から無意識にコシアブラを探す自分がいることに気づく。こうして「コシアブラ病」患者となっていくのだ。ご愁傷様~。
コシアブラ |
コシアブラに収穫 |
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収穫に満足しながら温泉へ。向かった「鳥海荘」は立派な施設で温泉もリーズナブル。さっぱりして祓川ヒュッテに戻った。途中で雨が降り始めた。雨でモヤがかかる残雪のブナ林は見事だった。思わず車を止めシャッターを切った。
その晩はシェルパすずき君のメインディッシュとコシアブラづくしで舌づつみを打った。
こうして怒涛の3夜目も大いに盛り上がった、のでした。
夕餉 |
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4日目は帰京するのみ、ですが、、、
nisshyさま、怒涛の3連泊、主任(トリ)を飾ってくださいませ!!
nisshyさまに壁パス的リレーを命じられて超動揺!!
ご指名とあらば僭越ながら2日目と3日目をを担当させていただきます。
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<5月3日:第2日目・・・みんな一緒に 祓川ヒュッテ~七高山~千蛇谷(予定)>
ところで今年の気候はおかしいぞ。買い出しをした新庄では灼熱の太陽が降り注いでまるで真夏。山小屋での海鮮手巻きずしもこの時期の鳥海では楽勝、とたかをくくってたけど、とんでもなかった。この暑さじゃ刺身がもたねーよー。痛まないように氷で包んで慎重に小屋に運んだ。その甲斐あって昨夜の食当もなんとか無事に終えることができたとさ。
さーてこの暑さ。鳥海に向かう山道に入ったときからやな感じ。祓川駐車場に着いたら不安に。
「雪がない」のだ。
鳥海山もやたらと黒い部分が目立ってた。いつもと比べてぜんぜん雪がない。ヒュッテの管理人さんに聞いてみた。
「中島台は厳しいと思うよ、というよりお勧めしないね」←暗に止めとけと・・・。
先行者の情報だと雪が少なすぎて、標高900m付近から超ヤブとのこと。中島台の等高線が広くなるところは単なる修行の場だってさ。”トビ”リーダーから「計画変更」のお告げが。
「あしたは七高山に登って、状況を見て千蛇谷を滑って登り返しまーす」
ということで2日目のはじまりはじまりー。
ヒュッテの部屋から美しい日の出を堪能、昨夜のトン汁の残り汁でうどんを食べて出発。
ご来光 |
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それにしてもこの暑さは異常だよ。ハードシェルどころかミッドウェアもいらないね。多くのスキーヤーが超薄着。大汗かいておよそ1時間で七ツ釜滝避難小屋に。ここで行程の1/3。これからが核心部。クラックを横目に急坂を巻きながら登った。
快晴の鳥海山 |
出発 |
ハイクアップ |
直登できるか? |
避難小屋のあたり |
ハイクアップ |
山頂が迫ってきたぞ。最後の急坂を休み休み登って約3時間半で七高山についた。山頂にはすぐ隣に新山が対峙、その左奥には千蛇谷の谷筋がおいしそうにのびてた。
もうひと踏ん張り |
Pさささん |
ちはるさん |
人力で運んだらしい |
三角点 |
七高山から千蛇谷 |
ここで3手に分かれた。ここから滑り返す者、カラ身で新山を目指す者、千蛇谷を滑って登り返す者。もちろん小生は千蛇谷隊に参加。うわさに聞く千蛇谷はぜひとも見ておきたかったからね。
スキーを背負って千蛇谷源頭を目指した。外輪山を少し進んで岩の崖を下った。雪は皆無。ザックのスキーが岩に引っかかった。雪が残って凍ってたらこれ以上難儀しただろうなー。
千蛇谷源頭へ |
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崖をおりたところで別の一隊は新山へ。われわれは先に見えるノドのところまで慎重にトラバース。いよいよ滑走!ほどよいザラメ斜面を軽快にターン。滑るほど谷はどんどんどんどん広がった。2つ目のカーブを越えた途端、絶景が飛び込んできた。そこには広々としたカール状の斜面が日本海に向けて延々と。それはまるで我が国とは思えない圧倒的な光景。なるほどこの千蛇谷、多くのスキーヤーを魅了するわけだね。なっとく。
調子こいて滑りすぎると登りかえしがつらい、といってたのもつかの間、「あそこまでね」と約束した岩場をnisshyさまが爆速で滑り過ぎてった。アドレナリン全開だったのね。
七高山への登りとあいかわらずの暑さで登りかえしがつらい。あえぎながら源頭部まで帰ってきた。
登り返し
せっかくなので、鳥海山最高地点の新山を目指すことに。そのころから日が陰って冷たい風が肌をかすめた。思わずシェルを羽織った。荷物をデポしてカラ身で登った。 最後は岩登りをしながら15分ほどで新山に到着。狭い山頂で集合写真をパチリ。祝!100名山登頂ー。
新山登頂 |
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再び七高山に戻った。無線で“トビ”リーダーに、ビール6本しっかり冷やしといてねとお願いしてドロップイン。山頂からいい感じのザラメが続いた。クラックに注意しながらどんどん滑っていった。なんかスキーが滑らないぞ?ワックスが合わないから?この原因は既出のsasakiさんの報告を参照されたし。
ドロップイン ”に”さま |
ドロップイン Pさささん |
ドロップイン チク氏 |
だいぶおりてきた |
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ということで、3日目もこうご期待。