10.02.11-14 森吉山パウダー
森吉山 山スキー
三尾彰
パウダー天国森吉山
森吉山は森吉スキー場が廃止になってしまい、隣の阿仁スキー場は西武が撤退して「NPO法人冒険の鍵クーン」が運営をしている。
しかし営業期間の途中であまりにも赤字が膨れてしまい春スキー営業は中止になっている。
そんなこともあり今年も開催されるか不安である。
スキーの性能が良くなり昔の山スキーはザラメ雪になってからやるものだと言われてきたが、今は新雪パウダー狙いが流行になってきている。
しかし、新雪の時期は昼間の時間が短く雪崩の危険があり天候は悪くて当たり前の難しさはあるが貴重な新雪をいかに喰えるかが山スキーヤーの憧れになってきている。
しかし、毎年新たに発行されるガイドブックに載った新たなルート多くの人が入る。たとえば八甲田山山域は毎日多くの山スキーヤーがガイドに導かれて入るが、同じような地形で近い場所にある森吉山はまったく登山者はいない静寂な白い世界があった。しかも、雪はすばらしく1月から2月は樹氷祭りが開かれパウダー天国になる。そして、パウダー天国といっても通常は多くの人が入ればトレールだらけになってしまうものだが、広い森吉山はそんな心配は無用である。
日程:2010年2月11日(木曜日)~14日(日曜日)
2月10日新宿を22時出発し東北道を一路北上して盛岡から玉川温泉経由で阿仁鍵ノ滝にある「ぶなホテル」に入る、雪道を佐藤さんの運転で飛ばし早朝についた。当初は角館空港から入るつもりであったが現地で車がないと何かと不便なので車で入ることにした。
2月11日 スキー場上部10:00 山頂12:00 一の越から森吉スキー場跡15:30
初めての山域で不安なので初日はNPO法人冒険の鍵クーンに所属している福士功治さんにガイドを頼んだ。
地図に明日から滑るルートと考えられるルートの情報をいただく。
スキー場からロープウエーでゴンドラで山頂駅まで登る。樹氷林の稜線をシールで1308ピークまで登り一休みする。
真白な世界が広がり山頂から大きく裾野を広げる森吉の半分が見渡せる。シールをとってファーストランは稜線沿いに森吉神社まで、ここから雪庇の薄い箇所から連瀬沢源頭1,200m.まで快適な胸パフを楽しむ、思わず叫ぶ!ガイド無しであればこのルートは取らずに避難小屋経由で登山道を登ったであろう。福士ガイドさんありがとう。
1200mでシールを付けて樹氷の中山頂までのぼる、樹氷が小さくなり雪が硬くなるとやがて山頂であった。明日滑るであろうヒバクラ岳方面を偵察する。
山頂から登ってきた連瀬沢源頭を目指して1150m地点を目指して滑る斜面は日光が当たるのでチョイ深雪のフイルムクラスであった、風の無い陽だまりでゆっくり休憩を取る、ここから短い急斜面をシールを付けて稜線まで登る。
一の越を目に前に見てシラビソ林を縫いながらトラバースして1回目の滑りは松倉沢の上部の950mまで一気にツリーラン、ここから斜めに上り返して適当なこと所から2回目のツリーラン上り返して再び3回目と楽しみながら閉鎖された森吉山スキー場に出る。ここから無木立のすばらしい斜面がドカーンと広がっていた、ここで福士さんから自由に滑っていいと、おいしい指示が出たので私はいの一番に滑り込んだのだが、なんとブレーカブルクラスであった。無木立で快晴なので長い間日光に当てられて表面が固まっていた。まったくコントロールできなくファットスキーの乗っているのでジャンプターンも出来ずにノーコントロールで下った。やっぱりうまい話は注意が必要である。さすが福士ガイドは雪質を知っていたのだ。
森吉スキー場の設備は全て撤去されていた。車道を長く滑り降りてテレマーク山荘と呼ばれている施設まで滑るとピックアップの車が待機していた。今日はシール付け替えを6回もした。
福士ガイドさんありがとうございました。
2月12日スキー場8:00 避難小屋9:30、山頂1452m11:00 ヒバクラ方面の1187ピーク13:00 802メートルピーク14:00~稜線をいけるころまで、林道に下りて湯ノ岱、国民宿舎近くの国道16:00まで
ぶなホテルから下山口にピックアップしてくれる仲間に送られて出発、スキー場事務所に計画書を提出して山頂駅から夏道とうりに避難小屋経由で山頂に向う、吹雪いている。前が見えないが何とか山頂到着、シールを取っていこうか戻ろうか議論をした、計画どうりにいくことになった。無線でピックアップ役の仲間に計画とうりに突入すると無線連絡をする。
山頂からの出だしはクラストしている吹雪の斜面をコンパスを目印にして慎重に下る、少し下ると白のコントラストのなかで地形が見てきて雪もパウダーになってきた、全員、雄大な風景とパウダーに歓声を上げて滑る、急傾斜は無いが感動があるところである。
1187ピークに向う地形が複雑なので少し迷う。ピークからの滑りは右側の沢に落ちないよう注意しながら802メートルピークに続く稜線を求めて滑る。ぶなの原生林で快適なパウダー斜面が長く続く、少し余裕が出てきたので写真や動画をとる。歓声が上がる。802メートル地点からそのまま沢に下りることも出来そうだが夏道の稜線をしぶとく滑る、しかし、急で斜面でブッシュがうるさいので670メートルの小鞍部で右の斜面にルートを取る、林道が1つめでてきた、西ノ又沢に出るまで下る、林道に出る安全圏まで下りてきたのでほっとする。林道は先頭のラッセルのトレールに乗って後続は滑る状態で順調にすすんできたが、車道に出ると上りも出てきてシールかそのままで行くかひたすら進む。林道に出て安全圏と思ったのが甘かった。携帯が通じ無線も取れるようになって、国道の雪壁を降りて無事、車にピックアップされた。長い距離を移動するルートであった。避難小屋冬季入口
2月13日 スキー場8:00 避難小屋9:30–10:30 仮称避難小屋尾根1194、976地点経由ーー林道13:00--阿仁スキー場15:00
ゴンドラに乗るときに係の人が「是非また1月に来てください。すばらしいパウダーですよ」と声を掛けてくれるのがうれしい。避難小屋は石油ストーブがあり、登ってくる人は2リットル程度の石油をペットボトルに入れてもってくる。床には分厚い断熱材敷きとても暖かい、めざしを焼いたり少しだけビールを飲んだりと寛いでしまった。というのも今日のルートは短いし何とかなるだろうという考えがあったからだ。
仮称避難小屋尾根は福士ガイドの判断では傾斜が無くて滑らないでしょうといっていた、しかし、滑ったことは無いといっていた。
滑り出しだけは視界が無かったので尾根に乗るように慎重に滑る。やがて全方位視界のある広い尾根が続く、傾斜は少ないが力を抜いて楽しさのあまりユーミンのブリザードを口ずさむ、
1194、976を過ぎるとやがて地形がはっきりしてくる、林道地形に出会ってから急斜面沢に出てしまった、この下には林道があるはずだが見えない、どうしようかと相談していると前の斜面の上に鉄砲を持ってマタギがひょっこりと出てきた。お互いに驚いたが、マタギから「お前さんたち迷ったのか?」と聞いてきた。いいえ下の林道に向かって山頂から滑っていると説明する。すると、下りるためには前の急な斜面を登れという、登ることは出来ない急な傾斜なので、滑っていくとウサギがいた、ごめんなさい狩の邪魔をしてしまいました。やはり森吉はマタギの世界でした。しかし、スキーも無しでよくここまで入れたものだと感心してしまう。
ウサギ斜面を滑り下ると林道にひょっこりでた。ここから林道歩きをまた2時間して阿仁スキー場に出た、今日は車のお出迎えは無いので、宿まで滑り降りる。こんなアバウトさも森吉である。
2月14日 スキー場8:30 15:00までスキー場で滑る
山頂駅から夏道沿いに下る、整備されたスキー場があるが左右には手付かずのパウダーが待っている。山頂駅から滑り込むクワットリフトの周囲にあるブナの中にパウダーが待っている、技量に合わせて喰い放題である。他に3名程度のボーダーがいるだけ、私たちだけのパウダー、関東近県のパウダーを滑る時は一本目のすぐ横を滑る節約パウダー喰いをしているが、ここではどこでも自由である。もちろんリフト待ちはまったく無い。そのほか山頂からゲレンデわきの夏道どうりに長いパウダーを楽しむ。機動力があるので何本も楽しめるところがゲレンデの利点だ。
昼食はNPO法人冒険の鍵クーンが食堂で豚汁サービスをしていてご馳走になる。東北のスキー場は暖かい人情がある。
3日間楽しませてくれた森吉山は八甲田に劣らない山スキーエリアであった。とっても不便で大変な場所なのでこれからも八甲田のようにはならないだろうが、パウダーの宝庫なのでいつまでも静かな山域であることを祈っている。
注意点
避難小屋に宿泊するときは2㍑程度の石油をペットボトルで持参すること。
山に入るときは阿仁スキー場事務所に登山計画書を提出すること。
参考データ
ぶなホテル〒018-4624
秋田県北秋田市阿仁鍵ノ滝206
電話 : 0186-82-2400
FAX : 0186-82-3630
福士功治 ガイド tel/fax:0186-63-2818
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