2024年4月 オートルート シャモニー〜ツェルマット【6日目】

By , 2024年5月9日 10:10 AM

オートルート 6日目(4/7)ベルトール小屋〜テーテ・ブランシュ〜ツェルマット

山行記録は7回シリーズです。
【プロローグ編】                     
【1日目】2024年4月2日 グランモンテ〜シャンペ 
【2日目】4月3日 ヴェルビエ〜プラフルーリ小屋
【3日目】4月4日 プラフルーリ小屋〜ディス小屋
【4日目】4月5日 ディス小屋〜ヴィニエット小屋
【5日目】4月6日 ヴィニエット小屋〜ベルトール小屋 
【6日目】4月7日 ベルトール小屋〜ツェルマット
 
 今回の全行程 >>> クリックで拡大
Haute_route All
 
 6日目のルート >>> クリックで拡大
Haute_route Day 6 (2024_4_7)
 

いよいよ最終日。今日も6:00出発だ。われわれの歩きが遅いこともあり、暑くなる前に行動するためなるべく早く出発したかったとのことだった。

ガイドはわれわれに、全行程を通じて一度も「遅い」とか「もっと早く歩け」などと言わなかった(結構な割合でこのようなことを言うガイドがいるらしい)。自分のやり方を客に強いるのではなく「この客がどうやったらオートルートを完踏できるか」を常に考えながらさりげなく提案してくれる、そういう稀なガイドだったと思う。あらためてこのガイドに巡り会えたことに感謝したい。

風もなく穏やかで予定通りツェルマットに降りることになった。これで計画していた全行程を辿ることができる。嬉しさがこみあげる中、ヘッドランプをつけて名物小屋・ベルトール小屋を後にした。

まずはハシゴを降りなければならない。2枚のカラビナをつけたスリングで確実にセルフビレイをとりながら慎重に降りていった。リッジ状の尾根の反対側に出て昨日デポしておいたスキーをはいた。ここから大きくトラバースする。
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ベールトール小屋を振り返って
 

氷河の向こうの朝焼けが美しい。これから今日の最高地点テーテ・ブランシュ(Tete Blanche)に登っていく。このあたりからPDGPatrouille des Glaciers)用に立てられたポールが出てきた。傾いたポールをガイドが直しながら登っていった。先行のパーティはアンザイレンで登っていた。
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周囲の山々には氷河の塊が隆起し蒼い溶岩のように露出していた。人と比較すると改めてその巨大さがわかる。
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最後の斜面を登っていくとマッターホルンが姿を見せはじめた。テーテ・ブランシュの肩に到着すると正面にドーンとマッターホルンが姿を現した。4000mを超える名峰と遜色のない高さから眺める姿は平地からのそれとは一線を画していた。サハラの砂で空気が霞んでいたが淡いトーンのマッターホルンもなかなかいい。真上の太陽がマッターホルンを神秘的に照らしていた。マッターホルンの麓にはこれから滑っていくツェルマットまで延々と続く谷が一望できた。テーテ・ブランシュに登る人たち、アンザイレンで滑る人たちが目の前を過ぎていった。
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テーテ・ブランシュの肩。PDG関連の荷だろうか?
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光降るマッターホルン
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Eさんはテーテ・ブランシュまで行ってくるといって登っていった。Eさんが帰るまでこの大展望を堪能した。

Eさんが合流してマッターホルンをバックに全員で記念撮影。フィナーレにふさわしい一枚になった。

さあ、あとはツェルマットまで長い滑りだ。ザラメ状になった雪にいい感じでターンが刻めた。PDG用のポールを頼りに下っていった。次第に斜面が固くなっていく。ときおりセラックが顔を出した。雪が茶色い部分はサハラ砂漠の砂だ。ここからはとにかくマッターホルンを真正面に滑り降りて行った。
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マッターホルンに向かって滑降
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セラックとサハラの砂とマッターホルン
 

岩綾の中腹まで氷河がせりだしているところに来た。氷河が溶けて流れ出した部分が滝状に凍っているのが見える。PDGコースの中でも危険箇所といわれるところだ。雪崩の跡がはっきり見える谷を通過しなければならない。50m間隔で一人ずつ滑った。固まったデブリを通過するが、これがとてもターンなどできないほど難儀した。終始プルークで慎重に通過。脚がガクガクになった。
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 デブリ通過
 

その先は氷河が侵食した広い谷をマッターホルンを真横に見ながら滑っていった。左岸のモレーンの上に小屋(Schönbielhütte SAC)が見える。ツェルマットから登ってくる人もいた。モレーンに囲まれてくると斜度もなくなり平坦になっていった。木々も出てきた。いよいよラストランだ。
 
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モレーンの谷
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雪が切れてスキーを担いで15分ほど歩くとスキー場に出た。あとはツェルマットまでゲレンデと林道を滑るだけだ。
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氷河が溶けたエメラルドグリーンの川を渡って長く楽しいオートルートは終了した。最後は全員でハイタッチ。
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夢にまで見たオートルート。この山スキーヤー垂涎の山旅はわれわれに期待以上の感動を与えてくれた。そしてこの旅は私の思い出にもっとも深く刻まれることだろう。

山行前にさまざまなトラブルがあったり、天候によって期間が短くなったりしたが、大きな問題もなく全員無事完踏できた。この山行はシャモニーのガイドそしてなんといってもEさんMさんなしでは実現しなかっただろう。3人にはあらためて感謝の意を伝えたい。Merciそしてありがとう。


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