10.08.12-15 朝日連峰縦走

By , 2010年8月12日 8:53 PM

以前から行きたかった朝日連峰にいける機会がめぐってきた。急遽とれた2日間のお盆休暇、これに週末をあわせて4日間。予備日を一日いれて、縦走するに十分かと思えた。一人でも行こうと思っていたが、声をかけたら、Aさんが同行してくれることになった。

8月12日(木)「七曲りで濡れネズミ」

11日夜新宿発、鶴岡行きの夜行バスにのる。渋滞の影響で、1時間30分遅れ鶴岡着。1本目のバスに乗り遅れ、8:38発の2本目のバスにのり、大鳥登山口を目指す。バスを乗り換えて、泡滝ダムに10:50に着く。乗客は我々2人だけ。台風が東北を目指しているというが、今日は稜線は歩かないし、昼過ぎに宿にもぐりこめばなんとかなるだろう。覚悟を固めて、大鳥小屋目指して歩き始める。大鳥川はうつくしく、いくつもの滝が流れこんでいて、秘境といえるにふさわしい様相。心もうきうきしてくる。途中、沢から何度も美しい水がとれ、喉を潤し、最後は唯一の急な登りといえる、「七曲り」で振り出した雨と、自らの汗でびちょびちょになりながら、2時すぎ、ようやく小屋についた。少し神経質だけど、親切な管理人さんが迎えてくれた。お客は我々2人と四国からのちょっと木奇妙な女子大生5人組みだけだった。台風は進路をやや北にとり、夕方5時ごろ秋田に上陸したそうだ。夕方6時ごろには風も収まったが、雨は一晩中に降り続き、屋根の下にいるありがたさをひしひしと感じた。100人収容可能な清潔な小屋の2階を二人締めし、濡れ物をほしまくった、贅沢な夜だった。

8月13日(金)「雪渓のあるところ、ニッコウキスゲあり」

6時おき、8時発。やや出発が遅いのは、雨がいつまで残るのか判らなかったから。でも出発するころには雨もあがり、雲もすこしづつ高くなっていた。千鳥池の周辺でうろうろするうちに、結局8時半オツボj峰コース登山口より上り始めとなる。なかなかの急登。汗がぽたぽた落ちる。が、のち、枝尾根から草原にでて、気持ちのよりお花畑となった。藤色のきれいなマツムシソウが沢山さいていて(Aさんにとっては、“スズムシソウ”)、小さなチシマリンドウと秋の到来を思わせるミヤマリンドウとあわせて青系のハーモニーが美しい。そして時折ニッコウキスゲの蛍光オレンジやハクサンイチゲの白が加わる。オツボ峰の手前のコルの雪渓で水をとる。冷たくて、うまい!調子にのってまた次ぎの雪渓で水を取ろうとしたが、地形が谷状になっていないので、とれない。雪渓というだけでは駄目なんだと知る。そんなこんなで、寄り道だらけで、以東岳についたのは13:00、コースタイムを1時間遅れだが、タイミングは抜群。ちょうど空が晴れてきて、遠く朝日岳の山頂まで一望できた。青空の下、あの草原を朝日岳まで歩いていくかと思うと幸せな気分になる。そして今日の宿はその半ばにあるオレンジ色の屋根の狐穴小屋。以東岳山頂でであった単独行の男性は、100名山を目指して名古屋から来たそうだ。朝日岳が71個目で以東岳―朝日岳の往復を2泊3日でやるのだそうだ。いきいきと語るその様子に「目標があるってすごいですね」と感心するAさん。目標意識の薄いわれわれはのんびり歩き、狐穴到着が4時。散々遊んでしまった、楽しい日の締めくくりは、ビールで乾杯。宿は、例の女子大生5人のほかに、百名山君と、百戦錬磨さん、そして、狐と狸。だれかさんのいびきがことのほかひどく、夜中、百名山が、悪態をついているのが聞こえた。

8月14日(土)「仙人の稜線から下界へ」

朝起きたら、強風と雨。天気予報が大はずれ。狐の管理人さんいわく、今日は一日雨、そして雨は16日まで続くという。困ったなー、ふと出発前に調べてきたエスケープルートを思い出し、管理人に相談してみると、それがいいと、下にある宿まで紹介してくれた。美人?が二人いくかもと、電話まで入れてくれたらしい。Aさんも心なしか安堵の表情。外にでて風雨の中を歩き始めてみると、想像よりも風が強くなく、歩くうちにこれなら、朝日岳までいけるんではないかという危険な気持ちがムクムクとわいてくる。この際、ちょっと無理をしてでも完走したいなあ。Aさんの気持ちをちらっと探ってみるが、「それはないでしょう」と、きっぱり否定。雨が降っているのに、行ってもしょうがないじゃあないですか。。。ま、そうよね。今は行けても、このあと、どんなに天気が悪くなるか判らないし、そのちょっとした自信や傲慢さが事故に繋がるんだと、自分にいい聞かせる。どんなやる気も天気という自然には勝てないんだよと。。。2時間で竜門小屋に到着。コースタイムより1時間近く早い。先頭を歩いていたがAさんは小屋の前でありえない、という風にキョトンとしていた。小屋で、コーヒーご馳走になり、30分ほど休憩して、歩き始める。竜門岳ピーク手前の分岐で宿に電話をいれるが、携帯がなかなか繋がらず、雨はここぞとばかりにひどくなる。ようやく、電話が繋がり、日暮れ沢小屋まで、宿の車が向かえにきてもらう約束を取り付け、ほっとする。分岐で方向を南西にとり、しばらく細い尾根が続く。晴れていたら相当美しい所のようだが、今日はほとんど何もみえない。雨は横殴りに体に打ちつけ、登山道を水が流れ、さながら沢の源頭部を歩いているような感じだ。「こんなんなら、沢靴をもってくればよかった」、などと、心にもないことを言いながら、ヒタスラ歩く。まるで修行のような世界だが、気晴らしに今までみた花の名前あてクイズなどをAさんに課しながら、前に進む。そのうちにうっすらと浮かびあがった、ピークとその下に折り重なる沢山の稜線と雲海がみえ、まるで仙人に出会いそうな風景だった。この仙人の丘を境に、ようやく、風と雨が弱まってきた。生命の危険がなくなると、今度はただただ下りがうっとうしくなり降りてきた自分が悔やまれる。この雨の中を登ってきたいくつかのパーティーにであった。明日はもっと雨がひどくなるというのに、あえて登ってくるなんて、相当のツワモノなんだなあ、と感心。ようやく1時20分日暮れ沢の小屋に到着した。2時すぎに橋本荘のおっちゃんが、迎えにきてくれ、寒河江川のほとりにある、素敵な民宿に1泊お世話になることとなった。

8月15日(日) 降り続く雨と「修行」と「煩悩」と

夜から、朝まで雨が降り続き、宿の前を流れる寒河江川が氾濫スレスレまできていて朝6時、焦って起きた。後で聞くところによると、こんなんまだまだ序の口で、このあたりは、めったに水害はないそうだが、下がこれでは山の上は相当ひどそうだ。朝日岳で出会ったいろいろな人々のことが心配になった。あの学生グループは狐穴小屋で停滞を決め込んでいたが、大丈夫だろうか、百名山君は無事往復できたのか?竜門小屋でであった沢グループは? 沢という沢があふれ、登山道が通行不能になっているのではないか。。。結論からいうと、我々は昨日下っておいてよかった。 帰りは、月山湖から高速バスで山形駅へ、そして、Aさんと別れ、山寺に寄り道した。山寺は参道が山道になっており800段の階段をのぼる「修行」で「煩悩」を忘れられるとのことだったが、、我々がただってきた雨の中の下山のほうが、数倍「修行」ぽく、「煩悩」を忘れるに適しているといえた。それでも明日からの東京の職場での「苦行」を思うと、お参りをしないわけにはいかなかった。

今回行けながった、竜門から大朝日、古寺鉱泉、またリベンジしたい。

by kamome

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